オーディオアンプとシミュレーション

主にLTSpiceを使ったオーディオのシミュレーションについて書きます。



ステップ補償採用型パワーアンプ

はじめに ここ一週間くらい、デリケートな初段の負荷を軽くしてトータルの性能を稼ぐというコンセプトのアンプについて検討を続けてきたのですが、3段増幅では確かにシミュレーション上は良さそうなものの、現実に実装するのはとても大変そう、という現実に…

3段電圧増幅パワーアンプ

概要 以前の記事ではちょっとAC特性が変な感じで、回路の特性もいまいちつかめなかったので再挑戦しました。www.audio-simulation.net シミュレーション まず回路を示します。設計した回路 前回からの改善点は、 初段をカスコード化したら低域の位相の謎回転…

A級シングル出力段の歪み

概要 半導体アンプでもA級シングル出力段はたまに試みられることがあります。 定電流負荷のフォロアで考えるとして、電流で見た効率はA級PPの半分になり、つまり電力効率はA級PPのたった1/4です(二乗で効いてくるので)。正気の沙汰ではないのですが、それ…

ダイトーボイス DS-16IIの音質と使いこなし

はじめに 今回は少し趣向を変えて我が家で使っているスピーカーを紹介します。 タイトルの通り、ダイトーボイスのDS-16IIです。私みたいな金欠学生には最適なスピーカーです。一発1000円強で買えました(今買えるのかどうかは不明。コイズミのサイトでは出て…

消費電流の大きな回路の電源には大容量コンデンサが必要

概要 タイトルの通り、「消費電流の大きな回路の電源には大容量コンデンサが必要」なのですが、知らない人も多いと思うのでシミュレーションでわかりやすく見てみます。シミュレーション回路 アバウトですが、正負20Vくらいの2電源の電源です。負荷抵抗を4kΩ…

カレントミラーで位相を進める

はじめに あまり使われているのを見かけませんが、電流帰還をかけたカレントミラーは電流帰還抵抗とパラにCを入れて位相を進めることができます。 位相余裕の確保に使えます。 シミュレーション シミュレーション回路 左から、ただのカレントミラー、いい感…

金田式PP(プッシュプル)レギュレータの秘密(効能)

はじめに 金田式PPレギュレータについては「アレは効くのだろうか」というもやもやした疑問がずっとあったので、シミュレーションで見てみます。 シミュレーション シミュレーション回路を以下に示します。シミュレーション回路 左が通常のシリーズレギュレ…

3段電圧増幅段回路オペアンプ

はじめに 3段増幅を試みる方はほとんどいないようです。現代の素子では2段増幅でも十分なゲインが得られること、位相補償の難しさがやはりネックになるのでしょう。 しかし、2段増幅には2段増幅の欠点があります。それは、原理的に歪みが多くNFBの効果が効き…

LTSpice上の2N3055の直線性

LTSpiceにデフォルトで入っている2N3055のモデルの直線性をDC Sweepで見てみます。なお、面倒くさいのでコレクタ電圧は固定。シミュレーション回路結果 こうして見るといろいろなことが示唆されます。 VBE-IC特性の直線性が良いのは1.5A近辺なので、電圧ドラ…

超シンプル原始6石パワーアンプ

概要 できるだけ少ない能動素子の数で、まともな特性のワイドラー型アンプを作るとしたらどうしたら良いだろう? という探究心のもと回路を書いてシミュレーションしてみました。 以下のような制約を設けます。 バイポーラトランジスタと受動素子だけ使う い…

カスコード・ブートストラップ出力段+ワイドラー

前回の記事ではフォールデッドカスコードでドライブ段なしで試しましたが、今回は通常の電圧バッファとしてオペアンプと組み合わせます。 前回の記事 www.audio-simulation.net さて、このような回路です。回路1 カスコード用のFETはドライブ段から生やしま…

カスコード・ブートストラップ出力段

カスコード・ブートストラップ出力段は力技の極みのような手法ですが、割と有望です。 効果がわかりやすいようにフォールデッドカスコードでシミュレーションします。基本的な回路 何回か似たような回路をこのブログにアップロードしたことのある、何も考え…

純A級出力段の実力

いつも実感することですが、純A級出力段は本当に優秀です。オーディオアンプの性能は出力段がボトルネックになるという説がありますが、昨今の高gm素子を用いた純A級出力段にはあてはまらないのではないかと思っています。無帰還出力段 アイドリング電流は1A…

古典・エミッタ接地+ブートストラップ

はじめに 古典の回路を試してみます。ブートストラップというテクニックです。 よく知られたものですが、エミッタ接地+フォロア型の回路で、フォロアの出力から負荷抵抗にCなどの定電圧性の素子をつなぐことで負荷抵抗を「ほぼ」定電流回路として作動させる…

インバーテッドダーリントン・BTLでクロス中和

インバーテッドダーリントンでBTLの場合、クロス中和のテクニックが使えて高周波特性を改善できます。ベース回路 パワーMOS-FETのゲート容量が大きすぎて高周波特性が伸びない回路です。 当然こうなります。周波数特性 反対側の出力とゲートを適当な容量で連…

出力段パラレル化の効果

出力段をパラレル化するのと、シングルプッシュプルでたくさんアイドリングを流すのとどちらが良いのか疑問だったので、確認してみます。シミュレーション回路(歪み測定) 左:通常方式で1A流している回路 右:0.25Aを4つパラにした回路 1kHz・1VrmsのFFTで…

B級アンプドライブA級アンプ

概要 B級アンプでカスコードの如くA級アンプをドライブする形式のアンプがあります。上条氏が研究していた回路です。これなどがそうです。www.ne.jp 狙いは、A級の低歪みさとB級の電力効率の良さを両立させることです。基本的にAB級より冴えたやり方です。た…

スーパーリニアサーキット・ヘッドホンアンプ

概要 以前の記事では高周波特性がうまく整わなくてシミュレーションできませんでしたが、なんとか仕上げました。www.audio-simulation.net 変更点 一段目の電流を出力に流すのを諦めた 電力効率的には魅力的な方法なのですが、おそらくカレントミラーの位相…

スーパーリニアサーキット・ヘッドホンアンプ出力段(のつもり)

概要 SLC(Super-Linear Circuit)を使ってヘッドホンアンプ出力段に適した回路をシミュレーションしてみます。 シミュレーション回路 以下にシミュレーションに用いた回路を示します。3回路同時にシミュレーションしている都合上、画像が大きいです。適宜拡…

スーパーリニアサーキットのシミュレーション

概説 スーパーリニアサーキットはパイオニアの開発した低歪み増幅回路です。 という説明はこのページを見るような人には必要ないですね。淡々とシミュレーションしていきます。スーパーリニアサーキット自体の解説はググると幾つかヒットするようなので、そ…

クロス・フィードフォワードの理論

概要 通常のフィードフォワード・パワーアンプでは、どんな方式にせよ補正アンプの歪みが野放しになるという問題があります。基本的なフィードフォワード回路の例www.audio-simulation.net しかし、理論的には補正アンプの歪みもフィードフォワードで解消で…

スーパーソースフォロアのSEPPバイアス回路

はじめに 以前スーパーソースフォロアについて記事を書きました。MOS-FETのインバーテッドダーリントンで、強力な局所帰還によって特に低周波側の特性を改善できる回路です。www.audio-simulation.net ただし、この回路には素直にSEPPが作れないという問題点…

2SC1815の一石アンプで限界までゲインを稼ぐ

概要 純然たる一石アンプでどこまでゲインが稼げるか興味があったので、計算とシミュレーションを行ってみました。 設計上の制約として、単電源であること、無信号時の出力は電源中点とすること、定格を守ることを決めます。また、使う素子は2SC1815を1つと…

プリアンプやラインアンプを作るときは出力にRを入れるべき

はじめに プリアンプやラインアンプを作る場合、ボルテージフォロアやそれに類似した回路を出力段に使うケースが多いと思います。 ロー出しハイ受けの原則に従ってそのまま使う人が多いようですが、発振させたくなければ出力に直列にRを入れるべきです。フォ…

スーパーフィードフォワードの理論

概要 スーパーフィードフォワードに関する考察もこれで3記事目です。今回は理論面について考察していきます。 過去の記事 www.audio-simulation.net www.audio-simulation.net サンスイの公開特許公報 いい加減これがないと記事を読んでいる人が困るだろうと…

スーパーフィードフォワードの考察(というかメモ書き)

概略 前回の記事に引き続いて、サンスイのスーパーフィードフォワードについて考察を深めていきます。www.audio-simulation.net 実際には途中経過のメモ書きなので、それほど具体的な内容はありません。 特許資料について コメントで頂いた資料を頼りに解析…

サンスイのスーパーフィードフォワード

はじめに 以前の記事にコメントで頂いた情報をもとに、サンスイのスーパーフィードフォワードをシミュレーションしました。 ただし、あくまでも低周波領域でのシミュレーションです。高周波については宿題とします。www.audio-simulation.net 原理 よくわか…

ハイゲインなぺるけ式ヘッドホンアンプもどき

はじめに 本邦でディスクリートのヘッドホンアンプといえば、ぺるけ氏のFET式差動ヘッドホンアンプが有名です。Headphone Amp Project これの改造案についてシミュレーションしたので、書き残しておきます。私が個人的に作るかどうか迷ってシミュレーション…

ソースフォロアSEPPの出力インピーダンスを動的に見る

はじめに ソースフォロアのSEPPはパワーアンプの出力段としてメジャーな回路です。しかし、その素性は闇に包まれています。 と大上段に構えてみましたが、この記事では単純にソースフォロアSEPPの出力インピーダンスを動的に見てみようと思います。静的な出…

Zobelフィルタとアイソレータの効果をシミュレーション

はじめに Zobelフィルタとはアンプの出力(負荷)と並列にRC直列回路を挿入するもの、アイソレータは同様に出力(負荷)と直列にRL並列回路を挿入するものです。 自作アンプでは省略されることも多いZobelフィルタとアイソレータですが、意外と馬鹿にできな…