前回の記事ではフォールデッドカスコードでドライブ段なしで試しましたが、今回は通常の電圧バッファとしてオペアンプと組み合わせます。
前回の記事
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さて、このような回路です。
カスコード用のFETはドライブ段から生やします。出力終端とゲートをつなぐと位相回転がきついので、注意してください。
わかりやすくするためにゲート抵抗を400Ωも入れていますが、実際にはそんなに入れないと思います。まあ、そこはご容赦ください。
出力段のみのAC特性です。ついでに、それぞれの上側ゲート電流も見ています(赤がカスコード・ブートストラップ)。
カスコード・ブートストラップは全体的に広帯域です。ちょっと1MHz近辺にピークがありますが、とりあえずこのまま進めます。
こうして見ると、カスコード・ブートストラップのゲート電流は途中まで1次で、途中から2次になる線です。2ポール特性とでもいうのでしょうか。いや、この場合はゼロ?
概要がつかめたところでオペアンプで帰還をかけます。ゲインは4倍ですが、後述するように少し狙ってここに設定したという数字です。
AC特性です。オープンループゲインとクローズドループゲイン。
全体的なゲインの違い乖離はごくわずかであり、つまるところオープンループの位相特性を表す赤い点線とシアンの点線の違いが大きいあたり(1MHzくらい)がこの方式で生じたスイートスポットということになります。そこでこのあたりで帰還量が0dBになるように増幅率を設定しています。
見てわかるようにものすごく顕著な差はないです。うまくスイートスポットを生かして位相余裕を作るようにしたとして、10dBくらい帰還量を稼げるかな? 程度だと思います。そういう意味ではいまいちです。
ただし、そうなってしまうのは本体とカスコードに同一素子を使っているからです。本体側には小型でゲート容量が小さいが大電力は食わせられないFET、カスコード側には大電力を消費できるFETという組み合わせにすればかなり広帯域な出力段が実現できそうではあります。本命はどう考えてもそっちです。うまくやれば帯域で1桁、NFB量で20dBくらいは稼げるかもしれません。そんなにNFBかけてどうするんだって話ですが。
まあとにかく力技ですが、やればできて確実に効果があるというのは一つのメリットかもしれません。