はじめに
AB級でパラレルSEPP出力段の場合、すべての素子を同じバイアスに設定するより、バイアスをずらした方が好結果を生む可能性があります。
シミュレーション
こんなやつです。
上側ドレイン電流を見ます。
電源からはほぼ同じ回路に見えているということです。
しかし、個々の素子の電流を見ると様子が違います。
青が普通のパラレルで、緑と赤はずらしバイアスです。このようにカットオフするタイミングが違うので、ずらしバイアスだと生きている素子がスイッチングノイズをある程度吸収してくれると思います。
出力FFTです。
高い周波数の成分を中心に、歪みが減っています。
なお、書いていて気づきましたが真ん中と右の回路は同じ回路です。実際、特性もまったく変わりません。
まとめ
ま、これはシミュレーションで見た場合の話で、何もしなくても10mAくらいのずれは素子のばらつきなどで普通に生じるので、それを活かせば良いと思います。逆に、これを積極的に使って特性を改善するというのもなかなか難しいと思います。
シビアにバイアスを整えることが良い結果を生むとは限らない、ということでもあります。