はじめに
スーパーフィードフォワードの実践的なシミュレーションの仕方がやっとわかったので、書きます。
過去の記事
www.audio-simulation.net
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方法と結果
まず次のような回路を用意します。
これがスーパーフィードフォワードのトポロジーですが、定数はちゃんと合わせていません。補正アンプは接続しないでおきます。出力段のアイドリング電流は2mAほどで、純B級動作といっていいと思います。
この段階で歪みを評価しておきます。
意外と低歪み。まあ強い負帰還がかかっているからです。
さて、以前の記事でも示しましたが、スーパーフィードフォワード動作のためにはの条件を満たす必要があります。この回路において、LTSpiceでは、
# A1 (V(bi1)/(V(ip)-V(im))) # Z (V(bo1)-V(o))/I(RZ) # gm (-I(R5)/V(bi1))
と書けます。これらをAC解析で見てみます。
なので、これらをすべて乗じた結果を見ます。
(V(bi1)/(V(ip)-V(im))) *(-I(R5)/V(bi1)) *(V(bo1)-V(o))/I(RZ) *0.25
だめだめですね。あとは辻褄の合うようにパラメータを調整していきます。すると、最終的には以下のような回路に落ち着きます。
カットオフ周波数をもう少し厳密に合わせると綺麗に一本になると思いますが、面倒なので妥協します。どうせ実機でも厳密な第一ポールの位置なんてわからないんだし、気にしても仕方ありません。
少なくとも1kHzでは極めて高精度でスーパーフィードフォワード動作していると言えるでしょう。
ここまでできたら、結線してシミュレーションします。
1MΩと1.565kΩを切り替えて、スーパーフィードフォワード動作させたときとさせなかったときについて検証します。
幅広い周波数で20~30dBの改善が得られており、成功していると思います。
まとめ
やり方はわかったので、これで設計できるし、なんなら実機も作れると思います。ただ、スペアナがないと調整は厳しいと思います。
おまけ
アイドリングを1Aまで増やしたときの結果。
超絶低歪みになりました。ふと思ったのは、引き算ではなくて逆関数で補正信号を取り出すので、補正系の精度に対する要求が小さい? ということ。
また、補正アンプの電流振幅も要求されません。いい性質だと思います。