はじめに
今更感が強すぎますが、金田式完全対称を見ます。同極性PPの実力を確認したいからです。
素子と定数は勝手に決めるので、金田式に準拠はしていません。
シミュレーション
こんな回路。
定数は私の流儀で決めているので、金田式ではありません。終段のアイドリングはこの定数で1Aになります。
無補償でも過渡解析では発振しなかったのですが、かなりやばい状況。
がっつり初段ステップ補償します。
適当に選んだ定数でしたが、一発でほぼ完璧になりました。当たり前ですが、初段の負荷抵抗が小さいときは重たいステップ補償が必要になります。
さて、こうして見ると一応DCゲインは80dBほどあり、思いの外高ゲインです。
いつもの1kHz・約1W出力時のFFTです。特性は普通ですね。とりたてて良くも悪くもないという感想。
主信号が9dB、2kHzが-106dB、3kHzが-112dBです。当たり前ですがシミュレーションなので実機より良くでているはずです。
考察
この回路の厄介なところは、各段がそれなりに重い負荷をぶら下げられている上に局所帰還もまったくかからないので、ある意味素子の素の実力が性能の上限を規定してしまうことです。また、上の方で位相回転する要素が多いので、NFBもがっつりはかけられません。
要するに改良の余地があまりないのですが、まあ別にいいかな? でも同極性PPで高性能なアンプを作ろうとするとこの回路は微妙です。
あとは各部の電流を見て対称性をチェックしておきます。
うーん、コメントに困るというか。可聴域はギリギリセーフと言えなくもありません。厳し目に言えば、初段と終段は非対称です。二段目の対称性は高いです。
まとめ
素性はわかりました。たぶん普通のアンプだと思います。
コンプリSEPPの方が性能は出しやすいのですが、同極性素子しかない状況だとこれしかない・・・のかなぁ。